英語学習に携わること、もうかれこれ8年くらいになります。
元高校教師からイギリス大学院留学を経てオンライン英語講師として活動する現在、本当に多くの方の英語学習をサポートしてきました。
その上で、僕が英語の授業やレッスンをする際に大切にしていることがあります。
それが、他人を否定しないこと。
今日では、どんな分野でもノウハウが簡単に手に入るようになりました。英語学習ももちろんその一端です。これをすると伸びる、これはやめておけ、といった情報が溢れています。これで英語学習者にどんな変化が生まれたか。一方的に誰かから習うだけでなく、自分でこの方法でやる!と決める、いわば自分の方針を自分で決める人が増えました。これは素晴らしいことです。
この状況が次に生み出すのが意見のぶつかりあいです。例えば、僕があまりおすすめしていない英語学習の方法があるとして、それを生徒さんがやり始めようとしているとします。
通常であれば、「その方法は効率悪いからやめた方がいいですよ!」と他の方法を提案するでしょう。でも、僕は違うアプローチを取ります。僕なら、「いいですね、ぜひやってみましょう!続けてみて、どんな効果が出るか楽しみですね!」と後押しします。それがどんなに個人的に嫌いな方法であってもです。
英語学習に詳しいのにちゃんと導いてあげないなんて!と思われるかもしれません。でも、長期的な英語学習の伸びを目指すならこれがベターだと信じています。やってみたいと思える学習方法を自分で探してくるという行為そのものが、凄まじい賞賛に値する行為だと思うからです。私たち日本人は、とにかく褒められる機会がありません。
ここでシンプルに「その方法はダメです」と切り捨てる行為は、いわば効率の悪い方法を実践しようとするのを止める行為で、論理的で正しいでしょう。しかし、僕はそのときの学習者の精神状態を優先します。
英語学習者が「これいいかも!」と学習方法を見つけたときは、気持ちが上むきになっています。赤ちゃんがご飯を好きなときに食べ、眠いときに寝て、泣きたいときに泣く。人は自分で物事を決めるのが本来の姿ですし、それが本能です。どんなに自主性がない人でも、自分で物事を決めるのは楽しい。
それを「効率が悪いからやめとけ」と突っぱねてしまうと、自分の考えが否定された、やっぱり私はダメなんだ、自分の決断は間違っていた、と感じます。最初は楽しくやるはずだったものが一気につまらなさを生む存在に変わります。赤ちゃんが夜中に起きても、「夜中に起きるのは健康に良くないから寝ろ」とは言わないですよね。同じように、僕は正しさという大義名分を振りかざさないようにしています。
自分で決めたことを試してみて、その効果を自分で実感する。それからまた試行錯誤する。そうして積み上げた英語こそ、みんなが憧れるような英語力だと思います。
SNSが世界中に広がったいま、多くの人がとにかく無駄を嫌い、効率を求めるようになりました。先日X(旧Twitter)をみていたら、森の中を走っている電車の先頭車両から景色を撮影した2分くらいの動画が投稿されていました。
こんな景色もいいなと思っていたら、その動画についたコメントは「何も起こらないんかい。」というものでした。たしかに爆笑ハプニングや意外な結末は一切ない動画でしたが、2分というSNSでは長尺(!)だっただけに、その時間を費やすだけのオチを期待した誰かがいたんでしょう。
もう、効率に縛られなくてもいいじゃないですか。
正しいもの以外を全て切り捨てなくてもいいじゃないですか。
続けていればいつか英語力は手に入る。
というわけで、これからも好きなように色々発信していきます。
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